【2つのラジアルマスタ】 ノッカタイプとダイレクトタイプ

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【ダイレクトタイプ VS ノッカタイプ】

こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。

ラジアルマスターは構造上、2つに分類されることをご存知ですか?

ノッカタイプ
ダイレクトタイプ

どこがどう違うのか?

それぞれのメリット、デメリットは?

それでは、純に説明します。

ノッカタイプ


ノッカと呼ばれる部品を介してプッシュロッドを押すマスターシリンダー。

現在レースで使われるブレーキマスターはこのタイプになります。

また、純正採用品もこのタイプになります。

メリット

ノッカタイプはオプション機能が豊富。
具体的には、以下のオプション機能があります。

・リモートワイヤー
・レシオアジャスタ
・スイッチ

リモートワイヤー


リモートワイヤーを取り付けるためのアジャスタが横出しのためワイヤーの取り回しがスマート!


ダイレクトタイプもリモートワイヤーの装着は可能です。ただし、アジャスタが前出しのためワイヤーの取り回しが美しくない(-_-;)

カウルに接触します。無理な取り回ししてるためダイヤルも重くなります。

レシオアジャスタ


bremboのRCSやGALESPEED等が持つレバー比の調整機構のことです。

ブレーキレシオを変えることのできる非常に便利な機能です。

この機構には、ノッカが必須。よって、ダイレクトタイプにこの機能は設けれない。

なお、レシオアジャスタについてはまた別の機会に詳しく説明する予定です。

✓スイッチ


純正採用されているNISSINラジアルやRCSラジアルには、はじめからスイッチが装着されています。

スイッチの配置を考えて設計されているため、見た目もスキッリ。

ただし、同じノッカタイプでもレース専用モデルは別。スイッチのことは考慮されてません。

デメリット

パーツ点数が多いこと、これがノッカタイプのデメリット。

特にRCSのようなレシオアジャスタを持つものは点数が多くなります。

では、パーツ点数が増えると何が問題なのでしょうか?  それは・・・。

・フリクションロスが増える
・高い部品精度(生産性が悪い)が必要

✓フリクションロスが増えるとは?


パーツが増えるほど、各パーツ同士のガタや抵抗も増えます。

レバーからの入力がガタや抵抗に食われてしまうわけです。

✓生産性が悪い理由は?

1個づつのパーツの誤差が少なくても、パーツが多く集まることで誤差は大きなものになります。

φ10の穴にφ10のピンは通りません。
少なくとも 0.03mm以上の遊びが必要です。

遊びが増えるほどにガタは増えるので各部品に高い精度と管理が必要になります。

ダイレクトタイプ


ここからはダイレクトタイプの説明になります。レバーがプッシュロッドを直接押すマスターシリンダーです。

当初、レース用と言えばこのタイプでした。
なおクラッチは、現在もこのタイプがレースで使われています。

メリット

メリットはノッカタイプの真逆。
つまり、パーツ点数が少ない ということ。

点数が少ないことで以下の利点が生まれます

・リニアな操作性
・生産性が高い

✓リニアな操作性

パーツ点数が少なくなるほど、ガタや抵抗は減ります。

レバーからの入力は、ノッカタイプよりも正確に伝達することができます。

MotoGPのクラッチはダイレクトタイプ。

クラッチにはリモートワイヤーは必要ありません。レースなのでスイッチもいりません。
そういう状況でダイレクトタイプが採用されているのは、純粋な油圧発生装置としてはノッカ式よりも優れるからです。

とはいえ、レースではスタート時しかクラッチは使われませんが・・・😅。

✓生産性が高い

単純にパーツ点数が少ないほど生産は容易になります。部品管理もノッカ式よりも楽です。

デメリット

デメリットもノッカタイプの真逆。
つまりオプション機能の追加が困難 ということ。

・スイッチの配置が困難
・リモートワイヤーの取り回しが悪い
・レシオアジャスト機構の追加は無理

✓スイッチの配置が困難


ダイレクトタイプはノッカがないためスイッチの入力が困難。

でも最近は非常にすぐれたスイッチがいっぱい増えました。

なかでも、ACTIVE、Kファクトリー製はピカイチ!

とはいえ、ノッカ式のスイッチにくらべるとどうしても大袈裟なものなります。

ちなみにスイッチに関しては以下の記事で詳しく紹介しています。
こちらも是非ごらんください。
【おすすめのカスタムパーツ】 アクティブの EA スイッチキット

✓リモートワイヤーの取り回しが悪い


ベベルギアを使ったのリモートワイヤーならきれいな取り回しができます。

でも、ギア介してることもありノッカタイプに比べてダイヤルは重くなります。

✓レシオアジャスト機構の追加は無理
実は、ダイレクトタイプのマスターシリンダでもレシオアジャストさせることは可能なんです。

ノッカを持たせたレバーをつくり、プッシュロッドも変更すれば可能なんです。

夢のような話ではなく、物理的に可能です。これならリモートワイヤーも横出しすることができ、取り回しもうつくしくなります。

でも、ノッカをつけた時点でダイレクトタイプではなくなります。ダイレクトタイプのメリットがなくなってしまいます。

それだったら、はじめからブレンボのRCSやゲイルスピードのVRCにすれば済む、ってことになりますね。

違いはレバーだけ!? マスターシリンダーは共通 ??


ノッカ式とダイレクトの違いって、実はレバーだけ。細かいことを言えば、プッシュロッドとスイッチも専用品ですが、マスターシリンダー本体は共通に設計することが可能です。

実際にGALESPEEDはノッカタイプのVRCとダイレクトのRMとありますが、マスターシリンダ本体は共通なんです。

おまけ:プル式マスター

実はラジアルマスターには、もう1つ形状があります。プル式です。

AP RACING CP4125
支点の位置がbremboやNISSINとは逆!!

一般的なマスターはレバーがピストンを押すのに対し、このマスターはピストンを引っ張って油圧を起こします。

このマスターにはもう1つ面白い点があります。上下対称なんです。ひっくり返してブレーキにもクラッチにも使えるわけです。面白いですよね。




今回の記事はここまで
最後までご覧いただきありがとうございます。

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