【エゴとこだわりは紙一重】
こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。
バイク製品に関わらず、こだわりのある製品ってカッコイイですよね。
でも、そのこだわりが度を過ぎると設計者のエゴって場合もあります。
良い製品とは?
「とことんこだわる!」
レース用部品ならそれでイイかもしれません。
でもこれが市販品となると話は別。
不必要なこだわりは、むやみに価格を上げるだけです。
製品において最も重要なのは ユーザー満足度!
金額とパフォーマンスとのつり合いが必要。
つり合いがとれてないものは “こだわり” ではなく設計者の “自己満足” なんです
自己満足な製品①
例えば、ハンドルポストが一体になった切削トップブリッジ。
これ、たしかに剛性は上がります。
でも、費用対効果はどうなんでしょうか?
写真はOVERさんのトップブリッジ。
もし、ポスト下側がトップブリッジと一体だったらどうでしょう?
材料の厚みが2倍、もしくはそれ以上になります。
当然、それだけ材料費も上がります。
ボスト別体のトップブリッジでも、材料の1/3ほどが削り落とされます。
それが一体になれば、半分以上を捨てることになるんです。
贅沢な話です💦
ただ、全否定はしません。
多少とはいえ剛性があがることは間違いない。
また、こういった高級感のある製品の需要もあるのだから。
でもボクだったら、もっと別のところでこだわりたいですね。
AERA、ZETAのトップブリッジのように。
こだわりの製品①
写真はAERAのS1000RR用。
キーシリンダーの部分が別体になってるのわかりますか?
2ピースなのに固定するボルトが見えません。
実にスマートですね。いかに違和感なく一体感をだすか、そこにこだわりを感じます。
こだわりの製品②
こちらはZETAのS1000RR用
AERAと同じくキーシリンダーのところが別体になってます。
こちらのトップブリッジの注目すべきは、ポケット加工。
表面の段差になった抜きの部分。
先ほどのAERAがフラットになってるのに対しZETAは斜めなんです。
手前になるほど深くなってるのわかりますか?
よ~く見ても3次元加工独特の切削跡がないんです。
斜めの治具を使って、2次元加工機で切削してるわけです。
3次元加工機を使うとどうしても時間単価が高くなります。
加工を工夫し、安価で3次元加工っぽく見せてるわけです。
こだわりを感じます。(※追記①参照)
自己満足な製品②
次はボクの失敗談。
これ見て下さい、RC213Vのブレーキペダルです👇
上面の斜めになった加工。
ナイフエッジと言う人もいますね。
このRC213Vのナイフエッジは接合部が丸くなってるんです。
ボクはこの加工を真似て失敗しました。
この加工は、さすがに3次元加工でないと出来ません。
専用機のため時間単価は上がり、加工時間も増えます。
当然、加工賃は上がり定価に影響します (※追記②参照)
では、それによるパフォーマンスはと言うと・・・
ぶっちゃけ、丸みがあろうがなかろうが違いはありません💦
上図は2015年に発売された市販GPマシンのRC213V-S。
2190万するバイクですが、ペダルのテーパーに丸みはありません。
ボクが丸み加工を施したのは、2007年のとき。
2000万以上するバイクにすらしてない加工、しかもそれを8年前にしてたわけです。
無謀でした。
お客さんからも「こんな加工いらないからもっと安くしてよ」と言われました。
当然ですね、完全な自己満でした。
追記①
3次元加工機を使わずに3次元加工っぽく見せるのが、こだわり、企業努力と説明しました。
でも、100%そうではありません。
最近は技術が進んで、以前よりも3次元加工の時間単価が下がってるんですよね。
治具の入れ替えで3次元加工っぽく出来ると説明しましたが、出来栄えはやはり3次元加工に劣ります。
また、治具の交換と製品を治具に乗せ換える作業に時間と人件費が発生します。
計算したら3次元加工機のほうが安かった、なんてこともあります。
追記②
ボクがRC213Vレプリカのペダルを作ったのは2007年のこと。
今は機械や技術レベルも上がっており、2次元と3次元に当時ほどの金額差はありません。
現在は、この加工を施したステップも普通に見かけます。
・
・
・
今回は以上になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます!
コメント