「日常品から学ぶ熱伝導率」
こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。
今回は、熱伝導率についてのお話です。
“熱の伝わり易さ” をあらわす数値で、数値が大きいほど温度変化が早い。
熱伝導率の表を用意したので見ながら読んでください。
アイス専用スプーン
一時期、カップアイス専用スプーンが話題になったのを覚えてますか?
まぁ、今でも売ってるのですが。
原理は、指先の体温でスプーンの温度が上昇するため、アイスを溶けやすくしてるんです。
このスプーンの熱伝導率が高いからできることなんです。
では、先ほどの表を見てこのスプーンの材質が何かわかりますか?
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答えはアルミ。
アルミは貴金属を除く一般的な金属なかではトップクラスに高い熱伝導率なんです。
ちなみに一番はダイヤモンド。
タンブラーにむいている材質
では、アルミのマグカップやタンブラーに熱湯を注ぐとどうなるか?
すぐにカップは熱くなり、カップに熱を奪われたお湯はすぐに冷めます。
じゃあ逆に、熱伝導が低い(悪い)チタンのマグカップやタンブラーはと言うと…
熱湯を入れてもカップは熱くならないし、カップに熱を奪われないからお湯も冷めない。
ってなわけで、タンブラーにはチタンがむいてるわけです。
熱伝導率の基準
ここまで、アルミ(237W)とチタン(21.9W)という極端に数値の高いものと低いもので説明しました。
じゃあ、鉄(80.3W)ってどうなんでしょう?
数値的に、平均よりは低い数値になります。
でも、室内で鉄にさわると「つめった!」ってなりますよね。
これは手の熱が奪われるからです。
ってことは鉄は熱伝導が高いってことになります。
矛盾してますよね。
そうなんです。
熱伝導率の高い・低いは比較する対象や状況によって異なるわけです。
チタンピストン
熱伝導率がわかったところで、ここからが本題、バイクの話です。
レース用キャリパーにはチタンのピストンが使われてます。
「熱伝導率の低いから」という理由は、話の流れで想像つきますね。
じゃあ、熱伝導率が低いとなぜイイのか?
それはベーパーロック対策になるから
ベーパーロックは、ブレーキフルードが沸騰する現象。
ディスクとパッドの摩擦熱が高くなりすぎると、熱がピストンを伝わりフルードが沸騰する。
モトGPのカーボンディスクは、市販のステンレスディスクよりもさらに高温になります。
フルードへの攻撃性はもっと高いわけです。
そこで熱伝導率の低いチタンピストンの登場。
パッドの熱をフルードに伝えなくするわけです。
アルミピストン
じゃあ、アルミピストン使ってる市販車ダメじゃんってなりますよね?
まさにその通り!!
実は、公になってませんがピストンが鉄からアルミになってベーパーロック現象は増えてると聞いたことがあります。
その証拠に、ZZR1400のリヤキャリパーはアルミピストンだったのが、ZX14Rにフルモデルチェンジして鉄ピストンになってるんです。
でも、今はほとんどのバイクがアルミピストン。
鉄の1/3の重量で、腐食に強い、というメリットが、ベーパーロックというデメリットを上回ってるからなんでしょうね。
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今回はここまでになります。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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