チタンの真実・第5弾:チタンは折れる? でも実は・・・折れるのは純チタン
こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。
今回のテーマは、「チタンボルトは折れるのか?」
チタンボルトを扱うメーカーさんでよくあるテーマです。モトロックマンなりの回答をしたいと思います。
チタンボルトは折れるのか?
【答え】 折れます
いきなり核心をつきますが、「折れるのか?」 と聞かれれば「折れます」 と返事をします。
これまでに、少なくとも3桁の数のボルトに強度テストをしました。自社製だけでなく、国内外の有名チタンボルトもテストしてます。
その結果・・・残念ながらチタンボルトは折れます。
テストの方法
今まで行った強度試験では全部折れました。それもそのはず 「どれだけの荷重で折れるか」 という検査をしてるから。折れるまで力を加えていく試験をしてるので折れます。
では、普段どんな試験かというと以下の2つの方法になります。
・ひたすら締めこむ試験
工業試験場での引張強度試験
強度測定には上図のような試験機を使います。ホントは動画を撮りたいのですが、残念ながら試験場は撮影はNG 😢
チタンのほかに、同形状の様々な材質でもテストしています。クロモリ、ステンレス、炭素鋼、etc・・・
この検査で面白いのが、結果が常に機械的性質の強度に比例してること。
強度試験の数値はボルトの形状によって毎回異なります。でも、必ず材質の順位は上の順になります。
またそれだけではなく、それぞれの数値が表の数値に比例した結果になります。
ひたすら締めこむ試験
もう1つのテストは、細かいことは抜き、ひたすら締め込む。何N・mで折れるのか、という試験を行っています。
実際にボルトが折れるときって、締めこんだどきが大半。「使ってて気づいたら折れてた」 って、あまり聞かないです。
なので、こっちのテストのほうが現実的と言えるかも? なお検査では、規定トルクの1.8倍に耐えた時点でOKとしてます。
この検査で厄介なことは、M8以上になると固定用の治具や工具がボルトよりも先に破損すること。よって、ボルトが折れる数値がいまいち正確に測れない (-_-;)
似たことをしてる動画を見つけましたが、やはり工具が変形していました ⇩
チタンボルトの種類
さて、ここからがこの記事の本題です。
チタンと一言でいってもかなりの種類があります。そのなかで、ボルトに使用されるチタン材は以下の2種類
純チタン(2種)
他の種類のチタンボルトもありますが、一般的に流通してるのはこの2つです。
Ti-6Al-4Vボルト
Ti-6Al-4Vは、通称64チタンと呼ばれチタン (Ti)のほか、6%のアルミ (Al)と4%のバナジウム (V) が含まれたチタン合金です。
ファクトリーチームが使うチタンボルトは、この64チタン。モトロックマンを含め有名ボルトメーカーもこの材質です。
よって「チタン」 と言ったら、64チタンのことを指します。
純チタンボルト
純チタンと聞くと高級感がありますが、実は逆。純チタン(2種)はチープで、強度も64チタンの半分以下!
純チタン の強度 → 393N/㎟
チタンやアルミなど、金属全般に言えることですが、純金属よりも合金のほうが強いんです。
ちなみにガンダムに使われているガンダリウム合金も主原料はルナ・チタニウム合金。やはり合金なんですよ (笑)。
折れるチタンボルトの正体
ここまで来たら察しがつきますね。そう、折れるチタンボルトの正体は、純チタン製!
そして、チタンが折れるというイメージがついた原因は自転車のステムのボルトなんです。
マウンテンバイクやロードバイクの某有名ステム、これに付属されたチタンボルトが純チタンだったんです。
このステムの純チタンのボルトがバキバキ折れまくるため、世間にチタンボルトが折れるってイメージができてしまったんですね。
興味のある方は、「チタンボルト」「折れる」 ってググってください。どこのステムかすぐ見つかります。
はい、そんなわけで純チタンのボルトはバイクに使わないでください。
もっとも、強度がいらない場所なら純チタンでもいいです。でもそれだったら、チタンより軽いアルミボルトを使うべきです。
では、間違って純チタンを購入しないように見分け方を教えちゃいます。
純チタンボルトの見分け方
これが純チタンのボルトです ⇩
純チタンのの見分け方は以下の4つ
② 鍛造のまま、切削されていない
③ マットな質感、光沢がない
④ 表記の確認
極端に安い
ホームセンターや工務店で売ってるボルトは、全て純チタンで間違いありません。
考えてみてください。ポジポリーニのボルトをホームセンターに買いにいきますか? 64チタンは専門店でしか売ってません。
ネット通販でも極端に安い場合は注意が必要。
鍛造のまま、切削されていない
純チタンのボルトは安価です。安いことがウリなんです。
それにわざわざ、コストのかかる切削なんてしません。よって、切削してあれば64チタンと思って間違いありません。
光沢がなく、マットな質感
純チタンのボルトは光沢がないので見分けやすい。でも厄介なのが、研磨してあるボルト。
バレル研磨した光沢のある純チタンボルトが存在します。また、アルマイトしたものも区別がつきにくいです。
ちなみに先ほど説明した折れる自転車のボルトは、研磨がしてあります ⇩
こういったときは角をよく確かめてください。研磨している物はカドが丸みをおびています。
切削品はわざわざ研磨しません。なので、エッジがあれば切削した64チタンです。
表記の確認
最後は一番単純な見分け方。タグやポップの表記を確認すること。
■純チタンを意味する表記
JIS2種
Gr2
Grade2
■64チタンを意味する表記👇
Ti-6Al-4V
α-βチタン
Gr5
Grade5
JIS60種
TAB6400
まぁ、ウソの表記されたらそれまでなんですが・・・(-_-;)
チタンの真実
モトロックマンがお伝えするチタンの真実は全部8つ。是非!ご覧ください。
① チタンは希少! でも実は・・・
② チタンは軽い! でも実は・・・
③ チタンは錆びない! でも実は・・・
④ チタンは錆びさせない? 実は・・・
⑤ チタンは折れる!? でも実は・・・
⑥ チタンは強い! でも実は・・・
⑦ チタンは硬い! でも実は・・・
⑧ チタンは強度でクロモリに劣る? でも実は・・・
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はい、今回の記事はここまで。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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