【構造を理解すれば答えがわかります】
こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。
今回はブレーキのオーバーホールについて。
設計者らしく構造に基づいたオーバーホールの説明をしたいと思います。
キャリパーのオーバーホール
まずキャリパーですが、これは自分でオーバーホールしても大丈夫です。
分解・組立が容易です。シビアな要求もありません。
キャリパーの構造
パッと見、パーツが多く見えますが、内部はピストン、ピストンシール、ダストシールの3つ。
オーバーホールの注意点
純正品も社外品も構造は同じです。
YOUTUBEで投稿してる人も多いですよね。
いくつか見ましたがみんなボクより丁寧(笑)
ただ強いて注意点を言わせてもらうと、グリスは必要ないですね。
ピストンやピストンシールにシリコングリスを勧める方もいますがブレーキフルードでOK。
サービスマニュアルでもグリスではなくブレーキフルードが推奨されてます。
ちなみに、社外品は出荷時にラバーグリスが塗ってあります。
これは店頭在庫や出荷を考慮してるため。
ブレーキフルードが漏れてきたら大変です。
マスターシリンダのオーバーホール
レース用のマスターシリンダの場合、内容によってはブレーキメーカーに依頼したほうがイイです。
無効ストロークのリークテストが必要になるからです。
なお、純正品やストリート用であれば自分でオーバーホールしても大丈夫です。
マスターシリンダの構造
ブレーキレバーを握るとピストンは下(奥)へ押されるます。
ピストンに装着されたプライマリーカップがプライマリーポートより下へ移動すると液圧室は密閉され油圧(液圧)が発生します。
この油圧がブレーキホースを介してキャリパーのピストンを押出します。
これが油圧ブレーキのメカニズムです。
レース用とストリート用の違い
プライマリーカップがプライマリーポートを塞ぐまでの距離を 無効ストロークと言います。
無効ストロークの量が多いほどレバーの遊びが多くなります。
レース用のマスターシリンダはこの無効ストロークが少ない のが特徴の1つです。
ちなみにプライマリーポートの直径は、なんと! 0.5mm以下 !!
レース用のマスターは0.1mm単位で管理されてるわけです。
オーバーホールの注意点
プライマリーカップ、セカンダリーカップを新品に交換するだけなら問題ありません。
でも、ピストンやプッシュロッドまで交換となるとブレーキメーカーに依頼いたほうがイイです。
理由は無効ストローク量の確認が必要だからです。
ご覧の通りマスターシリンダはパーツ点数が多いです。
1個づつのパーツの許容範囲が0.05mm以下としても、パーツがいくつも重なることで大きな誤差になります。
その誤差を補うためにブレーキメーカーでは長さ別にプッシュロッドを管理しています。
レース用の場合、レバーがどの位置で油圧が発生するか、リークテストを行っています。
無効ストローク量が規定値内になるようプッシュロッドを交換するわけです。
ピストンやプッシュロッドを交換する際は、このテストが必要になることもあります。
ちなみにマスターシリンダにはダイレクトタイプとノッカタイプがあります。
上図のノッカタイプのほうがパーツ点数が多いため、誤差は大きくなります。
なお、この2つの種類についてはこちらの記事で紹介しています👇
【2つのラジアルマスタ】 ノッカタイプとダイレクトタイプ
オーバーホールの推奨時期
ブレンボ社が推奨するオーバーホールのタイミングは以下の通り。
サーキット使用 :半年、もしくは3,000km
かなり早いサイクルですね (-_-;)
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はい、今回はここまで。
最後までのご覧、ありがとうございます。
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