こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。
今回はチタンの入門編です。興味がなくても知っておいて損はありません!
ちなみに表紙がなぜガンダムかと言うと、
ガンダムがルナチタニウム合金って素材で出来ているからです。もちろんそんな材料はありません。アニメの中の架空です(*^_^*)
では、どこよりもわかりやすく説明していきます!
チタンの種類
チタンは大きく分けると以下の2種類
チタン合金
バイク用のアフターパーツで使われるのは後者のチタン合金になります。
純チタンと聞くと高級感があるように思えますが、強度はチタン合金の半分、バイクには不向き。
もちろん、強度の必要ない部位なら使えます。でもそれだったら、チタンより軽いアルミを使うべきですね。
チタン合金は、α型、β型、さらにその中間の α+β型があります。バイクで使われる Ti-6Al-4Vは α+β型になります。
スペックではβ型が優れていますが、その分コストも高い! よって流通はほとんどありません。
現在はチタンボルトと言ったら “Ti-6Al-4V” をさします。
Ti-6Al-4V の表記の意味
Ti はチタン、Al はアルミ、V はバナジウム、数字は含まれる成分(元素)の割合になります。
“Ti – 6Al – 4V” は 6%のアルミと4%のバナジウムが含まれたチタン合金という意味です。
また、合わせて覚えてほしいキーワードが👇
Gr5 (グレード・ファイブ)
TAB6400
64チタン
これは全てTi-6Al-4Vを表すものです。
チタンの特徴
知れば知るほどに面白いのがチタン。
なぜ、錆びないのか?
強いのに柔らかいとはどういうことか?
上の機械的性質表を使ってチタンの特徴を説明します。
軽い!
チタンボルトと聞いて最初にイメージするのが、“軽さ” ではないでしょうか?
先ほどの表の中で 比重 が、重さを表します。金属が同じ体積のときの重量の割合です。数字が小さいほど軽いということです。
軽い順にすると、マグネシウム、アルミときて次がチタン。そこからはかなり差がついて、ステンレスや鉄系材料になります。
鉄 (SS400)と比較すると、4.47:7.9 → 0.57
チタンは鉄の 約57%の重量 ということになります。半分強といったところですね。
強い!
次は強度について。
“引張強さ” の数値が大きいほど強いということになります。
Ti-6Al-4Vは900N/mmとあります。
これが優れた数値かわかりませんよね。
では合わせて クロムモリブデン鋼のSCM435 を見てください。通称 「クロモリ」 と呼ばれる材質です。
クロモリ鋼はバイク部品の中では最高強度と言われてますが、64チタンとほぼ一緒の数値。
そう、つまり 64チタンの強度はバイク部品ではトップクラス なんです。
硬い!
ここでいう硬さとは、表面硬度です。強度が高いほど硬度も高い傾向にあります。
表面硬度が高いと何がイイかというと、摩擦に強く なります。
でも、64チタンが摩擦に優れるかというと実はそうでもない。この話をするとちょっと長くなるので別の機会に説明します。
とりあえず今回は入門編なので「金属のなかでは高い数値」と覚えてください。
やわらかい!
強い、硬いときて やわらかい!
どーゆこと!? ですよね。
実は金属って、しなるんです。
表のヤング率が低いほど、柔らかく、しなります。つまり 剛性が低い ということです。
通常は強度が高いほど固くなります。アルミやマグネシウムは強度が低いためヤング率も低く、柔らかいわけです。
でも64チタンは違う!
強度はクロモリと同じにも関わらずヤング率は半分。
そう64チタンは、高強度 で 低剛性
強くて柔らかい という特殊な金属なんです。
錆びない!
チタンは空気にふれた瞬間に酸化被膜をつくります。これを不動態と言います。
簡単に言うとバリヤーです。それでもって、チタンのバリヤーがメチャクチャ強い!
他にもバリヤーをはる金属はあります。ですが、他の金属のバリヤーには何らかの弱点があります。破られてしまうわけです。
チタンのバリヤーには弱点はありません。
この無敵のバリヤーのおかげでチタンは、半永久的に錆びないのです。
影響を与えない
バリヤーのおかげで外部からの影響を受けない。ということは、逆に外部へ影響を与えないということにもなります。つまりチタンは化学反応が起こらないのです。
人体に使われるのもそのためです。金属アレルギーが起こらないのです。
また、2種類の金属が接触した状態で水がかかると化学反応によって錆が発生します。これを異種金属接触腐食というのですが、チタンにはこの現象が起こりません。
チタンは錆びないだけじゃなく、取付けた相手にもやさしい材質なんです。
チタンボルトは、マグネシウムやアルミの高価な鍛造ホイールを腐食から守ります!
熱伝導率が低い
最後は熱伝導率。
熱伝導率とは、熱の伝わり方です。
高数値ほど、温まりやすく、冷めやすい。
64チタンは前者の「温まりにくく、冷めにくい」になります。熱を伝えたくない部位にとても有効です。
例えばキャリパーのピストン。
レース用のキャリパーピストンにチタンが使われるのは、ブレーキの摩擦熱を熱に弱いブレーキオイルに伝えないためです。
最後に
64チタンが低剛性であることや、熱伝導率が低いことをデメリットのように言われる方もいます。でも、決してそうではありません。
欠点ではなく特性なのです。(^^)/
でなければ、ファクトリーマシンにチタンボルトは採用されません(^^)/
・
・
・
はい、とりあえず今回はここまで。
チタンについてはさらにマニアックな情報を掲載しております。
チタンの真実をぜひご覧ください。
コメント