【ガムテープによる温度管理はストリートでも有効か?】
こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。
今回はラジエターとラジエターガードのお話です。
レースで使われるラジエターガードはストリートとは勝手が違います。
ストリート用の市販に比べ、網目が大きいのは多くの人が知ってます。
でも、網目に法則があるのはご存じですか?
また、サーキットで見られるガムテープによる温度管理。
これがストリートにおいても有効なのでしょうか?
最後に、ファクトリーチームが使うラジエターを紹介します。
では、まいりましょう。
サーキットにおけるコアガードの必要性
公道と違いサーキットにゴミは落ちてません。
なのに、なぜレースマシンにコアガードが必要なのでしょうか?
レースでは余分なものは付けません。
そのためラジエターも必要最低限の大きさにしてます。(ラジエターが大きくなれば、ラジエター自体の重量アップだけでなく、クーラントも増えることになります。)
そういったなかで、冷却効果を妨げるコアガードなぜ取り付けるのでしょうか?
答えは単純、サーキットでも小石があるからです。
ランオフエリア (トラックの外のエリア) のグラベル (小石) です👇
ただし! ストリート用とは装着の理由が違います。
ラジエターガードの網目の法則
ストリート用の市販ラジエターガードはラジエターを全体を守ります。
対してレース用は水の経路であるウォーターチューブだけを守ってます。
オイルクーラーならオイルチューブだけを守る形状なってます。
ちなみにこれがチューブ👇
なぜチューブだけを守るのか?
それは、チューブが破損すると水が噴きだし、再スタートできなくなるから。
そう、ラジエターが高額だからコアガードをつけるのではありません。
レースを続けるために装着するんです。
チューブの部分の網目を小さくすることで、チューブを守ります。
レース用のコアガードは、大きい網目の模様についつい目がいってしまいます。
ですが、重要なのはその網目のつなぎの細かい部分なんです。
どのチームも網目のサイズや形は異なりますが、この法則は共通です。
各チームのコアガード画像を用意しました。
拡大して良く見てください。
✓Repsol Honda、RC213V
✓Monster Energy Yamaha、YZR-M1
✓Suzuki ecstar、GSX-RR
✓Yamaha Factory、YZF-R1
✓Yoshimura、GSXR1000
✓Kawasaki Team Green、ZX-10RR
また、全てに共通して言えるのは、ハニカム構造 (六角形) であること。
それと、ラジエターとガードの間に隙間をあけていること。
これらは冷却効果を妨げないようにするためです。
ガムテープによる温度管理
走行風のあたる面積を減らし、冷えすぎを防ぎます。
レーサーにはサーモスタットがありません。
そのため、水温が低いときも水がラジエターを通り強制的に冷却されてしまうわけです。
サーキットで有効なテープによる温度管理。
これが冬場のストリート (街乗り) でも効果があると言う人もいます。
さて、実際はどうなのでしょうか?
ラジエターへのテープ貼り
まずラジエターへのテープ貼り、これは無意味です。
市販車にはサーモスタットが装着されてます。
水温が上がるまで、冷却水はラジエターを通過しません。
なのでテープを貼っても意味がないということです。
市販車のなかにはレーサーのようにサーモスタットが装備されていないものがあります。
そういった場合にはテープは有効です。
たしか、RZ250にはサーモスタットがなかったですね。
オイルクーラーへのテープ貼り
次にオイルクーラーですが、これは使用状況によって考え方が分かれます。
また、水冷でのオイルクーラーなのか、完全な油冷なのかでも変わります。
使用状況での違い
ストリートでのバイクの使用は、以下の2通りに分かれます。
B ツーリング目的の趣味的な使用
この条件の違いによって内容が変わります。
■Aのように毎日乗る、しかも走行距離が短いといった場合
暖機が横着になることが多いです。
なかには、暖機をしないで低回転で走りはじめる走行暖機の人もいます。
こういった「早く油温を上げたい」といった人にはテープ貼りは有効と言えるでしょう。
ただし、短距離が前提となります。
温度が上がったときは冷却装置が必要となります。
■Bのようにバイクに乗るのは月2~3回、しかも走行距離が長い場合
こういった人は、しっかり暖機をします。
油温がある程度上昇してから走りだすわけです。
この状況下ではテープは不要です。
場合によってはすぐに冷却装置を必要とするかもしれません。
なので「貼るべきではない」というほうが正しいと言えます。
水冷のオイルクーラーの場合
↓
② エンジン温度が上昇
↓
③ 水温・油温も上昇
↓
④ ラジエターに水が流れ、電動ファンが回る
↓
⑤ 水温が適温に保たれる
水温が上がることで、油温も上がるためテープはいらないわけです。
逆にテープを貼っているとオイルクーラーの機能が低下するため油温が上がりすぎたときに困るわけです。
油冷のオイルクーラーの場合
電動ファンのない油冷エンジンは基本的に油温が上がる一方です。
冷却はオイルクーラーに依存してるわけですから、それに蓋をするのは良くないです。
まとめ
油温計で油温を把握し、温度に合わせてテープを脱着する。
これが理想的ですが、なかなか出来ることではないですね。
また、バイクはエンジンがかかっていれば温度は勝手に上昇するものです。
適温を超えたとき冷却装置がないのはよろしくありません。
そう考えると「テープは貼るべきではない」ということですね。
PWR
まずはオーシトラリアのPWR Advanced Cooling Technology社。
ラジエター、オイルクーラーの冷却装置メーカーです。
・Repsol Honda (Moto GP)
・LCR Honda (Moto GP)
・KTM Factoty Racing (Moto GP)
四輪がメインであり、バイク用の市販はないようです。
✓Repsol Honda、RC213V
MB
イタリアのMB MOTORSPORT社。
こちらもラジエター、オイルクーラーの冷却装置メーカー。
・Monster Energy Yamha (Moto GP)
・Pata Yamaha (SBK)
・Yamaha Factory (JSB)
ヤマハのレースパーツにもなっています。
✓Yamaha Factory、YZF-R1
MBは市販されているので購入可能です。
TALEO
TALEO TECHNORACING社は、スペインの冷却装置メーカー。
・KawasakiRacing (SBK)
・BMW Motorrad (SBK)
・Yoshimura (JSB)
・Team Green (JSB)
✓Kawasaki Racing、ZX-10RR
✓Team Green、ZX-10RR
✓Yoshimura、GSXR1000
FEBUR
FEBUR(フェバー)はイタリアのレース部品メーカーです。
ラジエターの他にもスイングアームやシートレールなどもあります。
BMWのチームやDUCATIのBARNI Spark Racing が使用しています。
その他
イタリアのH2O Performance、名古屋のKOYORADなどがあります。
H2Oは、エスパルス、ミクニテリカリ、モトバム、ファクトリーヒロなど、JSBの多くのチームが使用しています。
KOYORADは、RS-ITOHの車両で見ることができます。
レース用ラジエターはレース専用
よって、ストリートでの使用はできません。
また、取付も困難。車種専用を購入しても加工が前提と思ったほうがいいです。
・
・
・
はい、今回は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
コメント