【強度検討と安全率】 ガンダムのダムは大丈夫か?

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【ガンダムのダムって何だ!?】

こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。

年配の方はご存知かと思うのですが、昔は車検がスゴく厳しかったんです。

キャリパー交換には構造変更が必要でした。

まぁ、多くの場合、試験管がキャリパーが変わってることに気づかずスルーなんですが…。

で、キャリパーの構造変更に伴って必要となるのが、ブラケット (キャリパーサポート) の強度検討書。

ボクも当時は強度検討書を作ってたのですが、今見直すとこれが結構いい加減💦

どんな感じかと言うと・・・。

おかしな強度検討書①

まず根本的にオカシイのが、検証する基準が法規で決まってないこと。

つまり検証方法が自由なんです。

ツジツマが合っていて、納得できる内容ならOKってわけ。

で、当時ボクが作ってた内容は…

“2名乗車での急ブレーキ時に発生する荷重によりも、ブラケットの一番弱い部分の強度の方が強い” ということを証明するもの。

つまり一番過酷な条件で、一番弱い部分が壊れない、という証明書なわけです。

これ聞くと「なるほど」って思いますよね。

そうなんです。なるほどと思えるからこの内容で通ってしまうわけなんです。

おかしな強度検討書②

強度がブレーキ荷重を上回るだけじゃホントはダメ。

法規上、制動部品 (ブレーキパーツ) の安全率は1.6以上と決ってます。

チョット上回るだけでは1.6以上にならないんです。

でも、ボクの検討書には「安全率」なんて言葉は出てきてません。

それでもOKなんです。

安全率が定められてるのに、それに触れてなくてもいいって・・・(-_-;)

おかしな強度検討書③


オカシイ点は他にもあります。

法規上の人の体重が55kgなんです。

タンデムしても110kgですよ。

いやいや、軽すぎるでしょ。

全然、過酷な条件じゃない(;^_^A

おかしな強度検討書④

最後にもう1つ。

検討書で記してる破損場所と実際の破損場所が違うということ。

これは正直「仕方がない」と言いたいとこですね。

当時は解析ソフトもなく、実環境での破壊試験も現実的ではないので。

なにより壊れることがなかったから。

書類もあくまで “検討” 書なわけで。

で、実際どのように違っていたかと言うと…

検討書では、ギザギザのところが壊れると仮定しています。

対し、解析ソフトのシュミレーションでは矢印の部分が破損します。

ちなみに、なぜギザギザのところが壊れると仮定してるのか?

それは断面積が一番少ないから。

面積が少ないところほど弱いから。

でも、実際の荷重のかかり方はそうではなかったってことです。

強度検討書については以上です。

せっかくなので途中で出てきた「安全率」についてもう少し。

安全率とは


安全率は「荷重に対してどれだけ耐えれるか」という基準です。

例えば、100kgの人が座ると想定されたイスがあるとします。

これにどんどん荷重を加え、200kgでこわれた場合、安全率は2になるわけです。

安全率1.1の場合、109.9kgまで耐えれるけど110kgで壊れるってわけです。

ちなみに、1以上の数値が安全率の計算における安全マージンになります。

1.1の場合、安全マージンは0.1となります。

バイクパーツの安全率

バイクも部品によっては安全率の指定があります。

でも実際に試験があるのはホイールだけ。

ホイールはJWLの審査が必要👇
ホイール以外は、指定があってもそれを証明する必要がないんです。

じゃあ、みんな適当かといえば、決してそうではありません。

少なくともボクは強度解析を行ってます。

それも規定より若干高めの安全率になるようにしてます。

じゃないと、売る側も不安だから。

とはいえ極端な強度アップはしません。

出来るだけ軽量にもしたいから。

なので、いかに効率よく強度を上げる設計にするかがミソなんです。

強度アップのコツ①

強度アップには、いくつかコツがあります。

ひとつ面白い例を紹介します。

これはマスターシリンダーのプッシュロッドです。

左図の矢印が指すのはダストブーツをかけるための溝です。

解析すると、この溝をキッカケに破損します。

右は更に強く改良したものです。

溝の部分を広げました。

弱々しく見えますが、応力の集中するケッカケを消すことで強くなるのです。

このように弱い部分を強化できないときは、全体的に弱くして応力を分散させるんです。

強度アップのコツ②


他にも強度アップの方法はいくつかあります。

なかでも最も単純で効果的なのが “末広がり”構造。

荷重方向に対し、次第に質量を増やす方法が最も効果的なんです。

ピラミッドや東京タワーがいい例。

オマケ:ガンダムのダム


末広がりが効果的とわかったとき、真っ先浮かんだのがガンダム!

「ガンダムのふくらはぎのクビレって無理があるんじゃないか?」って思ったわけです。

横浜の歩行ガンダムも実は空中に浮いてるんですよね。

でも、ガンダムの強さの秘密はあのクビレにあるって話も聞いたことがあります。

ホントのとこどうなんでしょうね(笑)

ちなみにガンダムのダムって、このクビレのことらしいです。

気になる人は「ガンダムのダム」でググってみてください。



今回は以上になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます!

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