【ステップの考察】 同軸ペダル VS 別軸ペダル

この記事は約6分で読めます。

【結局どのタイプのステップがいいの?】

こんにちは、オートバイのカッコ良さを追求するモトロックマンです。

今回のテーマは、 同軸ペダル vs 別軸ペダル

ペダルの支点がステップバーにあるもの、これが同軸👇

ペダルの支点がステップバーは別の位置にあるもの、これが別軸👇

ステップとしてどっちが優れるのでしょうか?

結論

いきなり答えを言うと、どっちも同じです。

もし仮にレバーレシオが同じなら、どちらも同じタッチになります。
さらに、レバー長も同じにできたらなら、踏みごたえも同じになります。

では図を使って説明します。

まず左の同軸ペダルを見て下さい。
支点から力点であるペダルピンまでの距離が132mm
支点から作用点であるマスターシリンダーまでの距離が27mm

この2つの比率がレバー比になります。
よって、132:27 でレバー比は 4.9 になります。

次に右図を見て下さい。
ステップの下にペダルの支点をずらした別軸ペダル。
ペダルは同軸よりも短いですが、レバー比は同じ4.9で設計しています。

レバー比4.9ということは、10kgで踏み込んだとき、マスターシリンダーは49kgの力で押されるわけです。

同軸と別軸でペダルの長さは違っても、レバー比が同じならタッチも同じになります。

余談ですが、ペダルは支点から力点側をレバーと言い、支点から作用点側をノッカと言います。

では次に進みます。


左右を見比べてください。
実はこの2つ、ステップバーからペダル先端までの距離と角度が同じに設計してあります。

レバー比が同じで、レバー長、レバー角まで同じなわけですから、踏みごたえも同じになります。
つまり完全に一緒のフィーリングになるわけです。

でも、1つだけ違う点があります。
それは回転方向です。

同軸はペダルの支点と足の支点が一緒になりますが、別軸は違います。
ペダルと足で支点が異なります。

なので 「フィーリングは完全には一致しない」 はずなのですが・・・これが一致するんです。

レバーを45°以上に回さないとブレーキが働かないというのであれば、フィーリングに差はでますが
実際の移動量はかなり少ない。
違いがでるほどレバーをストロークさせていないわけです。

下に踏む (厳密には斜め後方に押す)という点で一緒なんです。
ということで、同軸も別軸も操作性に差はないとうことになります。

しかーし! これはワンポジションのステップの話なんです。
アジャストできるマルチポジションとなると話は別です。

ポジションのアジャスト方法によっては、レバー比やレバー長が狂ってしまうステップもあります。

マルチポジションの種類

ステップのアジャスト方法には、プレート移動式 と バー移動式 があります。
これに同軸・別軸を組み合わせると以下の4種類になります。

① プレート移動式・同軸ペダル
② プレート移動式・別軸ペダル
③ バー移動式・同軸ペダル
④ バー移動式・別軸ペダル

この中に、アジャストすることでフィーリングが変わるものがあります。

また、上記の4点に含まれないタイプのステップもあります。
それは最後にオマケで説明いたします。

では順に説明します。

① プレート移動式・同軸ペダル


4つの中で一番昔からあるアジャスト方法で、最もオーソドックスです。

ポジション移動の際、マスターシリンダー、ステップバー、ペダルの位置関係が変わりません。

よってポジション移動をしても操作性が変わることはありません。(ペダルの角度調整は必要)

② プレート移動式・別軸ペダル


この仕様を採用してるレースチームも割と多いです。

先ほどと同じく、ポジション変更の際にマスターシリンダー、ステップバー、ペダルの位置関係が変わりません。
よって操作性が変化することもありません。

③ バー移動式・同軸ペダル


この仕様はシフト側にしかできません。
マスターシリンダーがないシフト側だからできる方法です。

ポジションチェンジの際、ステップバーと一緒にペダルが動くわけですから、位置関係は常に一定。
フィーリングが変化することはありませせん。

またこの仕様は、アジャストするためのプレートを持たないため軽量化にもなります。

シフト側では最も効率の良いアジャスト方法です。

ここまでの3つは、ポジション変更してもレバー長とレバー比が常に一定でした。

でも次の最後が、そうはいきません。ちょっと勝手が違います。

④ バー移動式・別軸ペダル


この仕様は、”ポジションを変えるたびにペダル長が変わる” という問題があります。

レバー比は一定ですが、ステップバーからペダルピンまでの距離が変わるため、踏みごたえが変わってしまうわけです。

その対策として、ペダルピンをアジャストできるようになっています。

ステップバーの移動に合わせペダルピンも移動させ、できるだけレバー長が変わらないようにします。

でも、ペダルピンの位置が変わるということは力点が変わってしまいます。

作用点はそのままで力点がかわるため、レバー比がポジションごとに変化してしまうわけです。

踏みごたえを優先してペダルピンを移動させるか、レバー比を優先してペダルピンの位置はそのままにするか、という選択になってしまいます。

なのでレースでは、この仕様のステップはありません。

とはいえ、この仕様のステップがダメダメというわけではありません。

それに、今の市販ステップの主流はこのタイプなんです。

なぜ、多少なり問題のあるこの仕様が販売されているのでしょうか?

その件に関してはコチラの記事を詳しく説明しております。合わせてお読みください。

【ステップの考察】プレート移動 vs バー移動

オマケ:例外

最後にもう1つ、これまでの4種類とは別の仕様のステップを紹介します。

ペダル別体式 です。

ペダルがステップ本体とは別のところにあるタイプ。
これも言ってしまえば別軸ペダルになるのですが、今回の趣旨とは異なるので分けさせてまらいました。

具体的にはエンジン側になるのですが、ペダルがついたものになります。

また、ギヤシャフトの位置関係によって、以下の2種類に分類されます。

⑤ 別体式・リンクタイプ
⑥ 別体式・ダイレクトタイプ

⑤ 別体式・リンクタイプ

エンジンの上方にギアシャフトがある場合、この仕様のステップになる場合が多いです。

ステップ本体にペダルがあると、シフトロッドが邪魔になるんです。
こんな感じに👇

この ”シフトロッド邪魔” 対策としてペダルをエンジン側に配置してます。


写真のようにポジション移動に伴って、ペダルの位置もアジャストできればレバー比とレバー長がかわることはないです。

⑥ 別体式・ダイレクトタイプ

ギアシャフトに直接ペダルを取り付けたタイプになります。

このタイプはポジション移動に伴ってのペダル移動が出来ないというデメリットがあります。

そのため、社外ステップでこの方式を採用してるのはほとんど見たことがありません。

なので画像も用意できませんでした💦

モトロックマンのステップは?

ここ数年、弊社ではオリジナル、OEM含めステップは設計してません。

でも、今オリジナルステップを作るとしたらシフト側は③のバー移動式・同軸ペダル
ブレーキ側はABS無しなら①のプレート移動式・同軸ペダル
ABS有なら④のバー移動式・別軸ペダル
こんな感じにすると思います。



はい、今回はここまで。
最後までご覧いただきありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました